スポンサーサイト


上記の広告は1ヶ月以上記事の更新がないブログに表示されます。
新しい記事を書くことで、こちらの広告の表示を消すことができます。  
Posted by ミリタリーブログ at

2016年04月25日

イラクにおける米海兵隊 2016

先月、米海兵隊ファンにとって重大なニュースが報道されました。

米海兵隊がイラク北部に基地開設、イラク軍援護へ
http://www.cnn.co.jp/world/35079855.html

海兵隊がイラクに基地を開設し、3月19日にはロケット砲による攻撃を受けて戦死者が発生したという記事です。


国防当局者がCNNに語ったところでは、海兵隊は2週間前、作戦拠点としていた強襲揚陸艦「USSキアサージ」から同地に入った。ISISに砲撃された時はまだ、迫撃砲の設置と試験を終えてから2、3日しかたっていなかった。


どこの部隊とは書かれていませんが、USSキアサージということは昨年10月からちょうどこのあたりに展開中の26th MEUだろうな...!と思い調べたところ、予想通りでした。



3月18日、M777A2を射撃する26th MEU Task Force Spartan所属の海兵隊員。

前哨基地の名前はFire Base Bell。
イラク陸軍の援護のためにモスルの南東約75マイル(≒120km)にあるMakhmourという街の周辺に開設され、26th MEUから分遣され"Task Force Spartan"と名付けられた200人程度の海兵隊員、そして少なくとも4門のM777A2 155mm榴弾砲が配備されているようです。
戦死した二等軍曹は歩兵大隊である2/6の所属だったようですが、榴弾砲の配備、そして援護という任務内容からしても砲兵中隊が主だと思われます。

モスルは2014年の夏以来2年近くにわたってISILの支配下にありましたが、3月下旬にイラク陸軍第15師団は"Operation Valley Wolf"を発動し、モスル奪還の足掛かりとするための南方の村々を既に制圧しています。
Task Force Spartanには、この攻勢の援護が任されたのでしょう。


気になるのが、海兵隊が今後どのような対応を見せるかです。

Task Force Spartanは26th MEUから切り離されてイラクに残るようなので、ある程度の期間の駐留を考えていることは間違いないと思います。
最初のニュースを見た時から、展開の期間に終わりが近づいているのにどうするんだろう?という疑問がずっとありましたが、分遣隊のためにMEU全体が洋上に留まっているわけにもいかないということでこのような形になったのだと想像します。
他国の軍との合同演習のためにMEUの一部が1ヶ月ほど遅れて帰還するという例は見たことがありますが、今回のように分遣隊が独立して現地に残るというのは珍しいですね。
先例はあるのでしょうか?ご存知の方がいらっしゃればご教示をお願い致します。


26th MEUは前述の通り昨年10月から展開しており、7ヶ月目の今月、遅くとも来月中には展開準備を終えた24th MEUと交代する形で帰還するはずです(24th MEUは、4月上旬の段階ではまだ展開に向けた錬成中ですが)。


今後Task Force Spartan、そしてFire Base Bellはさらに規模を拡大するのか、あくまでも小規模な援護のみに留めるのか。目が離せません。


ご覧頂きありがとうございました。



《参考》

・Marines Deploy Against ISIS in Iraq
http://militaryvideos.com/marines-deploy-against-isis-in-iraq/

・U.S. Marines report second attack on 'Firebase Bell' in northern Iraq
http://militari.ly/1RfB9QJ

・Near ISIS front, U.S. Marine artillerymen ‘fire every day’
http://militari.ly/1S02s4c

・More incoming Islamic State fire for Marines at Fire Base Bell
http://www.stripes.com/news/more-incoming-islamic-state-fire-for-marines-at-fire-base-bell-1.402291

・Department of Defense Press Briefing by Colonel Warren via Teleconfere
http://www.defense.gov/News/News-Transcripts/Transcript-View/Article/711718/department-of-defense-press-briefing-by-colonel-warren-via-teleconference-from
  
Posted by Crux at 01:29Comments(0)部隊解説時事

2016年02月20日

13th MEU・Boxer ARGの動向

久しぶりの更新となります。

今回は、昨年12月中旬にアラビア海周辺の第5艦隊担当海域から帰還した15th MEU(Essex ARG)と交代する形で展開期間に入った、13th MEU(Boxer ARG)について書いていこうと思います。

15th MEUやARGについては以前の記事もご覧頂けると、本記事も読みやすくなるかと思います。↓
15th MEUの動向とARGについて


では早速ですが本題に。

分かりやすくするため、いくつかにテーマを区切って書いていきます。


・ARGの艦艇について

Boxer ARGを構成するのは、PHIBRON1のLHD-4 Boxer、LPD-18 New Orleans、LSD-49 Harpers Ferryの3隻です。
このLHD(強襲揚陸艦)、LPD(ドック型輸送揚陸艦)、LSD(ドック型揚陸艦)という艦種の組み合わせはどのARGも固定となっており、LHDはWasp級、LPDはSan Antonio級、LSDはWhidbey Island級またはHarpers Ferry級とほぼ同型艦を使っています。

MEUの海兵隊員はこれらの3隻に分乗していますが、もちろん艦種により兵員の収容数が異なるため、半数以上はLHDに搭乗していると思われます。


・担当海域について

2月12日にサンディエゴから出航して展開期間に入った13th MEUとそれを載せたBoxer ARG。


MEU/ARGは毎回展開中に担当する海域が決まっているようですが、今回は第5・第7艦隊の西太平洋とインド洋、アラビア海を含む海域のようです。
前任の15th MEUは第5艦隊の海域のみでしたが、展開期間が終わりに近づいた11月にブルネイで現地の軍と合同演習を行ったりしていたので、厳密にずっと海域内に留まっていなければならないという訳でもなさそうです。

また、現在展開中の26th MEUが第5・第6艦隊の担当でありどれも第5艦隊の海域は共通していて、やはり中東情勢に注意を払っているということがわかります。
実際15th MEUと26th MEUは、AV-8B ハリアーを強襲揚陸艦から発艦させてISILに爆撃を行ったようです。
以下はKearsargeから発艦する26th MEUのVMM-162(Rein)所属のハリアーの動画です。※VMM(Rein)=海兵中型ティルトローター飛行隊(増強)

もちろん13th MEUもハリアーを装備するVMM-166(Rein)を含んでいますから、このような任務も引き継ぐのではないかと思われます。




・歩兵部隊について

それから、今回の13th MEUの陸上戦闘力の中核を担うBLTの歩兵大隊は、第1海兵連隊第2大隊(2/1)です。



2015年10月、COMPUTEXと呼ばれる展開前の訓練を行うBLT 2/1。
左の隊員のヘルメットは新型のECHですが右の隊員はLWHで、この時点では完全に置き換わっていないようです。
多分15th MEUの時と同じように、展開期間に入ったら全員ECHになっていそうですが...まだ殆ど写真が出ていないのでわかりません。

ちなみに13th MEU/Boxer ARGは2013年8月から2014年4月にかけても同じ組み合わせで展開しているのですが、その時の歩兵大隊は1/4でした。
このように、MEUという運用単位が同じでも中身の部隊がその時によって異なるということが海兵隊ではしばしばです。
キャプションによってはMEUの名前しか書いていないために、どこの大隊か分からないということもたまにありますし、こういった紛らわしさが海兵隊の部隊運用の理解を難しくしていますね。
私もまだまだわからないことだらけです。


・MEU MRFについて



(私にとっては)MEUの話題のメインディッシュとも言える、フォースリーコンの装備についてです。

13th MEU MRFの装備で15thと大きく変わったところと言えば、まずヘルメットでしょう。15thではサンドカラーに塗装されたACHだったのが、濃いコヨーテカラーのECHに変わりました。



黒いテープに白で番号を入れている隊員がいます。
これなら視認性も高いですし、剥がすのも簡単で良いですね。ECHは持ってないので真似できませんが...

ヘッドセットは15thでは見られなかったCOMTAC2、3やSORDINが目立ちます。

それから、M4A1の光学機器は黒のEXPS3ですね。
フォースリーコンといえばホロサイトという感じですが、先日EOTechのホロサイトが温度変化によって精度を保てないとかで問題になっていたので、今後はAimpointなどのサイトに変わっていくんでしょうか。
11th MEU MRFなんかは以前からT-1を使っています。

体周りは若干民生品のプレートキャリアが目立つのとTCIのMASTをほとんど使っていないくらいで、雰囲気は15thとあまり変わらないように思います。

これからは一般歩兵の装備はもちろんフォースリーコン装備にもECHが必須になっていきそうなので、機会があれば是非手に入れておきたいですね...




13th MEUの展開期間は9月頃まで続くと思われます。15thの展開が終わってしまったのは残念ですが、今後は13thと26thの動向を注視していきます。

ご覧下さってありがとうございました。


参考:
・Marine Corps Harriers from USS Kearsarge Join Fight Against ISIL http://www.navy.mil/submit/display.asp?story_id=92084
・4,500 sailors, Marines deploy with Boxer Amphibious group http://fox5sandiego.com/2016/02/12/boxer-amphibious-group-deploys-with-4500-sailors-marines/
http://www.gonavy.jp/usmcindex.html
  
Posted by Crux at 14:50Comments(0)部隊解説Force Recon/MRF時事